簿記3級を学んでいこうという連載の18回目です。前回の記事はこちらになります。
この連載ではふくしままさゆき先生の動画を使って簿記3級の勉強をしていきます。
前回は「税金」でした。ものを所有・使用しているとかかる税金」、「儲けにかかる税金」について学びました。

今回は、剰余金の配当について見ていきます。以下の動画で学んでいきたいと思います。
剰余金とは何か
剰余金とは、株主資本額から資本金を引き抜いた金額です。余っているお金になりますので、剰余金が分配される可能性があります。これらは大概株主総会で決定されます。株主総会の例を見ていきましょう。
株主総会で、繰越利益剰余金300万円について次のように決議されました。
- 配当金は10万円とする。
- 利益準備金を10万円積み立てる。
残額は次回の剰余金の処分まで繰り越す。
繰越利益剰余金は、過去に算出された利益の累積です。
通常決算は3月31日が終了してから始まります。中小企業の場合は5月の下旬に株主総会が開かれて、確定申告を行います。上場企業の場合は6月下旬がほとんどです。
株主総会は組織の最高意思決定機関です。会社組織には一般従業員を底辺に、管理職、役員とあって、その一番上に株主総会があります。株主総会は最低でも年に1回開催されます(他にも臨時株主総会などが開催される場合もある)。株主総会では、以下の事項を決めます。
- 決算の承認
- 他社との合併の是非
- 役員人事
- 配当金の支払い(剰余金の配当)
配当金とは、繰越利益剰余金のうち株主に還元する分を言います。
剰余金の配当
投資家が株式会社に出資をすると、株主になります。会社が業績を上げると、株主に対して配当金が支払われます。これを「剰余金の配当」といいます。配当金の支払いは、配当金領収書(≒現金)という形で支払われます。仕訳の例を見ていきましょう。
x2年5月27日の株主総会で、繰越利益剰余金300万円について次のように決議された。
- 配当金は100万円とする。(即日現金で支払った。)
- 利益準備金を10万円積み立てる。
- 残額は次回の剰余金の処分まで繰り越す。
この場合の配当金支払いの仕訳は
(借)繰越利益剰余金 1,000,000 (貸)現金 1,000,000
となります。繰越利益剰余金は純資産の勘定科目です。借方にあるということは減るということになります。簿記的には「現金を支払って、その分繰越利益剰余金を減らした」ということになります。実際には配当金を即日現金で支払うことは多くありません。その時は
(借)繰越利益剰余金 1,000,000 (貸)未払配当金 1,000,000
となります。
利益準備金
それでは上のケースで利益準備金10万円の積み立ては、どのような仕訳になるのでしょうか。見てみましょう。
(借)繰越利益剰余金 100,000 (貸)利益準備金 100,000
利益準備金も純資産の勘定科目です。繰越利益剰余金の勘定科目を利益準備金に返るというとになります。お金・預金を積み立てるわけではありません。よって、株主総会の決議時の最終的な仕訳は以下のようになります。
(借)繰越利益剰余金 1,100,000 (貸)未払配当金 1,000,000 (貸)利益準備金 100,000
配当金の10%を利益準備金に積み立てるのは、会社法の要請になります。
未払配当金の処理
後は未払配当金の処理ですが、実際には配当金には所得税(10%)と住民税(5%)がかかります。これは、あらかじめ差し引いておくことが一般的です(源泉控除)。よって、この時の仕訳は
(借)未払配当金 1,000,000 (貸)預り金 200,000 (貸)当座預金 800,000
預り金は、よく月に税務署に支払うこととなります。
次回は帳簿
いかがでしょうか。株主総会や配当金支払いの概要がわかったと思います。次回は帳簿です。お楽しみに!!